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○土田耕平(歌人・童話作家)

ただ一つ 見えて悲しき 朝船は 野増の磯に 寄らで過ぎゆく





土田耕平
ただ一つ 見えて悲しき 朝船は

    
  黒野増の磯に 寄らで過ぎゆく

蛙鳴かぬ 島にし住めば この頃の

    そぼ降る雨夜 ふるさとを思う

さくら散る 山裾道の 夕暮れを

     牛曳きて来る 小女子あはれ




土田耕平(1895〜1940)長野県生まれ

東京中学校卒、島木赤彦に師事。 「アララギ」 発行とともに短歌を発表。赤彦の推賞もあって、その清澄な歌は大正末期の青年層に影響を与えた。大正11年、大島で6年間の療養生活を送りつつ書き上げた 「青杉」 を出版。
その他、童話も書き処女童話集 「鹿の眠」 を出版。
歌集 「斑雪」 「一魂」、 童話集 「原っぱ」 「夕焼け」 「裾野」等々がある。
大正4〜10年来港